愛すべき骨董品

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Japanese Antique

骨董品と聞いて思い浮かぶのは、量産出来ない貴重な存在である。

手間や時間がかかっていて、十把一からげでくくる事が容易ではない。

ある人にとっては家宝になるが、価値が理解出来ない人には無用だ。

骨董品は主に美術品などを指して言う事が多いが、人を例える時もある。

大抵はあまり良い意味で使われない。

流行にまどわされず、後の世でも大切に扱われる稀有な人物という意味なら嬉しいが、そんな風に言ってくれる人はめったにいないものだ。

私自身も骨董品に例えられた事があるが、その時は私の行動が時代にマッチしていないという理由だった。

良く言えば慎重だが、悪く言えば他の皆に先駆けて行動する事を躊躇う私を、骨董品と言われた時はただただ驚いたものだった。

現代社会で生きる者にとって必要なのは、自分の生活のニーズにあった的確な応答やサービスが早めに出来る事なのかもしれないが、 皆がそれを望んでいるのかと言うと、実はそういう人だけではなくてそれぞれの好みや用途別で分かれると思う。

私を骨董品に例えた人は、よほど私の行動が珍しいと思ったのだろう。私にとっては普通の行動がある人にとっては貴重なのだ。

この経験はとても印象的な出来事として、私の心に残っている。

私が示唆された行動は、決して人の迷惑になるものではないが、他の人の心に残るものではない。

しかし、私は自分が骨董品に例えられて良かったと思っている。

これからは人に迷惑をかけない程度で愛すべき骨董品を続けていきたい。